テレビや雑誌で、掃除や洗濯物を干すときなど、家事をしながらトレーニングをする、”ながらトレーニング”の紹介をしているのをよく見ます。
メディアは、視聴者や読者にキャッチーなタイトルと内容で「手軽にできて効果もありそう!」と期待感を抱かせるような情報を発信しています。ですが、ながらトレーニングは、あまり効率が良いとは言えませんし、やり方によっては大した効果を見込めないこともあります。
今回のコラムでは、その理由を私なりに書きたいと思います。
ながらトレーニングでは良質な刺激を得られない
例えば、洗濯物を干しながらスクワットをするとします。スクワットは、足腰の強化、下半身のシェイプアップに効果的なトレーニングで、皆さんもご存知のように、しゃがんで立ち上がる動作を繰り返すトレーニングです。そのため、スクワットの動作は洗濯物を干しながら行うのにやりやすいトレーニングと言えます。
ですが、実際にやってみると、洗濯物を干すことに意識が集中すれば、当然のことながらスクワットの動作には意識が向きにくく、動作は雑になり正しいフォームで実施することが難しくなります。そうなれば、筋肉に良質な刺激を与えられず、トレーニング効果は薄れてしまいます。逆に、スクワットをするのに集中すれば、洗濯物を干すのがはかどりませんよね。
また、トレーニングをしながら家事をすると、どちらも集中して行うことができないので中途半端になるだけでなく、必要以上に時間がかかってしまい、時間の無駄遣いになってしまいます。
家事は無駄に時間がかかり、トレーニングの質は下がる。これでは効率が良く効果的とは言えません。
短時間でも集中してトレーニングをしたほうが効果的
トレーニングの原則に、”意識性の原則”というものがあります。
意識性の原則は、どんな目的を持ってトレーニングをしているのか、どの筋肉をどのように鍛えているか意識することは、何も考えずにトレーニングするより効果が高くなるという原則。
この意識性の原則は、皆さんが思っている以上に重要で、意識の持ち方ひとつでトレーニング効果には大きな差が出ます。ですから、何かをしながらトレーニングするというのは効果的とは言えません。
私の経験からも、洗濯物を干すときは干すことに集中した方が、圧倒的に綺麗に早く干すことができます。そして、トレーニングの時は他のことに気を取られず、トレーニングに集中したほうが質の高いトレーニングができて、時間対効果を最大限に引き出すことができます。
手軽で効率の良い効果的なトレーニング、そういった謳い文句に惑わされず、本当の意味での効率の良い、効果的なトレーニングを行うようにしましょう。
”二兎を追う者は一兎をも得ず” 昔の人は上手いことを言いますね。